マンション大規模修繕の費用相場は?修繕積立金が払えない・高い時の出口戦略

マンションを保有すると、毎月、修繕積立金と管理費が発生します。
マンション所有者は住宅ローンに加えて修繕積立金と管理費も発生することから、戸建てに比べると維持費の負担感が大きいです。
また、修繕積立金は築年数が古くなると増額されることが一般的であり、修繕積立金が高いとマンションは売りにくくなります。
それでは、マンションの大規模修繕費用は具体的にいくら必要なのでしょうか。
この記事では「マンションの大規模修繕費用の相場」を中心に解説します。
目次
マンションの大規模修繕とは?
建物の修繕には、予防保全と事後保全の2種類があります。
予防保全とは故障を未然に防ぐために計画的に更新を行う修繕のことであり、事後保全とは故障が生じてから行う修繕のことです。
マンションの大規模修繕は、故障を未然に防ぐために計画的に実施する修繕であるため、予防保全に該当します。
予防保全には、単に劣化部分を補修するだけでなく、将来発生する可能性のある事後保全費用を圧縮し、建物の資産価値を維持する効果があります。
マンションの大規模修繕の具体例は、外壁塗装や屋上防水改修工事、エレベーター交換工事等です。
外壁塗装は外観の印象も改善されるため、物件によっては外壁塗装後の方が売却しやすくなることもあります。
マンション大規模修繕の費用相場
国土交通省(※1)によると、1戸当たりの毎月の修繕積立金の平均額は、「13,054円」です。
戸数別の修繕積立金の平均額は、下表のようになります。
| 総戸数 | 修繕積立金の月平均額 |
|---|---|
| 20戸以下 | 15,569円 |
| 21~30戸 | 14,207円 |
| 31~50戸 | 13,201円 |
| 51~75戸 | 12,902円 |
| 76~100戸 | 12,868円 |
| 101~150戸 | 12,213円 |
| 151~200戸 | 11,875円 |
| 201~300戸 | 11,687円 |
| 301~500戸 | 11,898円 |
| 501戸以上 | 13,131円 |
修繕積立金は、一般的に戸数が少ないマンションほど高くなります。
ただし、戸数が多くてもタワーマンションは修繕積立金が割高となります。
上表のうち、統計上、修繕積立金が最も安いのは戸数が201~300戸のマンションです。
301戸以上になると、調査対象にタワーマンションが多く含まれてくるため、一戸当たりの修繕積立金が上がっていきます。
地域別に見ると、修繕積立金の平均額は、下表の通りです。
| 都市圏 | 修繕積立金の月平均額 |
|---|---|
| 東京圏 | 13,622円 |
| 名古屋圏 | 11,945円 |
| 京阪神圏 | 12,063円 |
東京圏が高いのは、東京圏には大型のタワーマンションが多いことが理由です。
統計上、301戸以上のマンションは修繕積立金が高くなるため、大規模タワーマンションが増えると平均額も上がります。
また、マンションの大規模修繕は、概ね15年に一度のペースで行われます。
新築時より区分所有者から集められた修繕積立金は貯蓄されていき、大規模修繕工事の実施のタイミングで管理組合から払い出されます。
国土交通省(※2)によると、新築時から数えて1回目の大規模修繕工事は4,000~6,000万円程度の規模の工事が行われることが多いです。
工事の内容としては、外壁塗装や屋根防水、床防水、シーリング工事等が行われることが一般的です。
1回目に行われる大規模修繕の工事費は、1戸当たりに換算すると平均で151.2万円となります。
毎月の修繕積立金を1.3万円とすると15年目には1戸当たり234万円(=1.3万円×12ヶ月×15年)が積み立てられているため、151.2万円なら十分に賄うことができます。
(※1)出典:令和5年度マンション総合調査結果「現在の修繕積立金の額/月/戸当たり(使用料・専用使用料からの充当額除く)(その1)」の全体平均
(※2)出典:令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査
大規模修繕の費用は年々増加傾向
近年、修繕積立金は増加傾向にあります。

理由としては、人手不足による人件費の高騰や円安による物価高騰を背景に、工事費が高騰しているからです。
首都圏における中古マンションの修繕積立金に絞って示すと、下表のようになっています。
| 年度 | 修繕積立金 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 2020年度 | 11,737円 | - |
| 2021年度 | 11,770円 | 0.3% |
| 2022年度 | 12,085円 | 2.7% |
| 2023年度 | 12,580円 | 4.1% |
| 2024年度 | 13,177円 | 4.7% |
- 出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2024年度)」
修繕積立金の金額は、必ずしも新築時の計画通りに徴収されるとは限らず、不足すれば管理組合の決定により増額していくことが通常です。
昨今のように修繕積立金が年々増えていることを鑑みると、毎年のように修繕積立金の増額を決定している管理組合が多く存在するものと推測されます。
マンション価格と修繕費用のバランスをチェック
修繕積立金の額はマンション価格にも影響します。
この章では、マンション価格と修繕費用について解説します。
マンション販売価格は築年数に応じて下落傾向
中古マンションの価格は、土地価格を一定とすると築年数が経過するほど下落することが一般的となっています。

出典:新築マンション:「株式会社不動産経済研究所」、中古マンション:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2024年)」
理由としては、中古マンション価格のうち、建物価格が築年数の経過によって下がるからです。
近年は建物価格の下落以上に土地価格が上昇しているケースもあるため、築年数が経過しても価格が必ずしも下がるとは言えません。
しかしながら、地域によっては土地価格があまり上昇していないエリアも存在します。
土地価格が大きく上昇していないエリアでは、築年数の経過によってマンション価格が下落することが多いです。
修繕積立金は築年数に応じて増加傾向
修繕積立金は築年数に応じて増加する傾向があります。

出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」築年数は新築時を2023年と想定して編集
理由としては、築年数の古いマンションは当初に想定していなかった修繕箇所も発生することがよくあり、当初計画よりも積立金不足が発生することが多いからです。
修繕積立金の増額は、新築当初から予定されている物件もあります。
一方で、増額計画の有無に関わらず、管理組合の決定により修繕積立金を増額する場合もあります。
なお、周辺の物件よりも修繕積立金が割高な場合には、マンションが売却しにくくなり、資産価値の下落の要因にもなります。
物価高で一時金が発生するケースも
近年は、建築費の高騰を背景に大規模修繕の実施時に工事の見積もりを取ると、修繕積立金の不足が発覚するケースも多いです。
修繕積立金の不足が発覚するケースでは、マンションの所有者から毎月の修繕積立金とは別に一時金が徴収されることもあります。
マンションの修繕積立金が払えないとどうなる?
マンションの修繕積立金が払えないと、管理組合から督促状等が送られてきます。
督促が行われても滞納が続く場合、管理組合から訴えられて訴訟(裁判)が行われることも多いです。
訴訟が行われても支払わない場合、最終的にはマンションが競売にかけられます。
修繕積立金が支払えない場合には、滞納する前に売却することが適切です。
滞納があっても売却自体は可能ですが、滞納がある物件は実質的に買主が負担することになるため、大きな値引き要因となります。
また、滞納がある時点で、そもそもマンションはかなり売却しにくいです。
そのため、修繕積立金の支払いが厳しいと感じたら、早めに売却することをおすすめします。
大規模修繕費用が上がる前に売却を検討
修繕積立金が高い物件は、売却しにくくなります。
そのため、売却するなら修繕積立金が増額される前に売ることが適切です。
当初計画通りに増額がなされている物件では、いつ増額されるか予想できます。
新築で購入した人であれば、購入時に売主のデベロッパーから修繕積立金の増額計画表を渡されているはずです。
売却を予定している人は、修繕積立金の増額計画表を再度見直し、売却を増額前に完了させることが理想となります。
また、理事会で修繕積立金の増額が議論されている場合には、将来的に修繕積立金が増額される可能性が高いです。
特に築年数の古い物件は、当初計画以外で管理組合の意思決定により修繕積立金を増額することがあるため、理事会の議事録をチェックしておくことをおすすめします。
早く売却するならスター・マイカのマンション買取
近年は物価高や住宅ローン金利上昇による負担が増えるなか、中古マンション価格も上昇しており、マンション売却による住み替えを検討する方も増えています。
「一時金も発生して支払いが厳しい」「修繕積立金が上がって売りにくくなった」という方は、マンション買取サービスによる売却がおすすめです。
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まとめ
以上、マンションの大規模修繕費用について解説してきました。
1戸当たりの毎月の修繕積立金の平均額は、約1.3万円程度です。
修繕積立金は建築費の高騰を背景に、近年は徐々に増加傾向にあります。
マンションは築年数が古くなるほど価格が下がっていきますが、修繕積立金は上がっていきます。
修繕積立金の増加は資産価値を落とす原因の一つとなるため、修繕積立金が上がる前に売却することが望ましいです。
修繕積立金が原因で売却を検討している方は、参考にして頂ければと思います。
この記事の執筆者

竹内 英二Eiji Takeuchi
不動産鑑定士、中小企業診断士、公認不動産コンサルティングマスター等、多数の高度な資格を有する(株)グロープロフィット代表取締役。大阪大学出身。不動産鑑定業を軸に、土地活用や賃貸借、相続対策など年間多くの相談に応じている。実務経験に基づいた信頼性の高いWebライティングを手掛けている。
URILABOの運営者

スター・マイカ株式会社
“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時約4,000戸保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。
スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
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