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不動産売却

事故物件は売れない?気になる売却相場と知っておくべき告知義務

事故物件は、適切な対策を取ることで売却できる可能性が高まります。

ただし、通常の物件と比べて買主が見つかりにくく、価格も下がりやすい傾向にあるため、売却前に押さえておくべきポイントを理解しておくことが大切です。

近年は「大島てる」などの事故物件専門サイトが登場し、過去の事案が誰でも調べられる時代になりました。

だからこそ、売主には正確な知識と適切な対応が求められます。

この記事では、事故物件の定義や売却相場、告知義務、スムーズに売却するための5つのポイント、よくある質問について解説します。

事故物件は本当に売れないのか?

事故物件は一般的な物件と比べて買い手が見つかりにくく、価格も下がりやすい傾向にあります。

しかし、適切な対策を取れば売却は十分に可能です。

例えば、購入希望者からの値引き交渉に応じたり、不動産会社による買取を利用したりする方法が挙げられます。

また、孤独死や自然死など、心理的抵抗が比較的小さい事案であれば、相場への影響を最小限に抑えられる場合もあります。

大切なのは、自分の物件がどのような状況に当てはまるかを正しく把握し、物件に適した売却方法を選ぶことです。

次の章からは、事故物件の定義や売却相場、告知義務など、売主が押さえておくべきポイントを順に解説します。

事故物件とは

事故物件とは、心理的瑕疵(かし)のある物件のことです。

「瑕疵」とは欠点を意味する言葉で、自殺や殺人といったネガティブな背景によって、心象的に本来あるべき住み心地を欠く物件を指します。

なお、事故物件は法律上で明確に定義されているわけではなく、判例や国土交通省のガイドラインを基準に判断されます。

参考:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

事故物件の判断は一般人がどのように感じるか

事故物件は、単なる主観的な嫌悪感だけでは判断されません。

通常、一般人にとって住み心地のよさを欠き、居住の用に適さないと合理的に判断される時に限り、事故物件として認められます。

つまり、一般人がどのように感じるかという視点が判断の基準となるのです。

事故物件が心理的に与える4つの影響とは?

事故物件は、心理的に与える影響として以下の4つを加味して判断されます。

事故物件が心理的に与える4つの影響

  1. 事故・事件の態様
  2. 事故・事件の場所
  3. 地域性
  4. 時間の経過

まず、残忍な事件で過去に大々的に報道されたことがあるなど、人々の記憶に強く残っている事故・事件であるほど、事故物件と認められやすくなります。

事故・事件の発生した場所も重要です。

例えば、マンションの室内で殺人事件が発生した場合は事故物件に該当しますが、エントランスやエレベーターホールなどの共用部で発生した場合は事故物件にならないとされています。

地域性によっても異なります。

人の流動性が高い都市部は、事故物件として扱われる期間が短い傾向です。

一方で、地方は人の流動性が低く近隣への関心が高いことが多いため、事故物件として扱われる期間が長いとされています。

心理的瑕疵には「時間的希釈の原則」というものがあり、時間が経つと事故物件と認識されなくなっていきます。

裁判上では、6~7年あたりまでは事故物件として認められるケースが多いです。

事故物件の売却相場はどれくらい下がる?

では、事故物件であると売却相場はどのように変化するのでしょうか。

事故物件の売買相場

事故物件の売買相場は、一般的な物件と比較して1~5割程度下がるのが目安です。

下落幅は死因によって異なります。

事故物件ごとの下落率

  • 孤独死や自然死:1~2割の下落率
  • 自殺:1~3割の下落率
  • 他殺:3~5割の下落率

ただし、これはあくまで目安であり、明確な相場が決まっているわけではありません。

一般的に、事件の残忍性が高いほど、あるいは直近に発生した事件であるほど、影響が大きいと考えられます。

一方で、事故・事件があまり知られていない、あるいは10年以上前に発生したケースであれば、価格にはほとんど影響がないとされます。

物件の立地や状態によっても変動するため、最終的な売却価格の目安は不動産会社の査定で確認しましょう。

事故物件の損害賠償は売買代金の3割が相場

明確な基準がない一方、過去の裁判例を参考にすると、損害賠償請求で認められた「売買代金の30%程度」という金額が、値引きの1つの目安となる場合があります。

以下に、損害賠償請求が認められた2つの事例を示します。

7年4ヶ月前に土地上で売主の母親が強盗殺人の被害者となった事件を説明しなかったことが説明義務違反にあたるとされた事例(神戸地判平28.7.29(平27(ワ)1743))

当該裁判では、売買代金5,575万円の内、1,575万円(約28%)が損害賠償額として認められました。

建設工事現場における現場所長の自殺が請負契約における瑕疵にあたるとして、損害賠償請求が認められた事例(東京地判平24.11.6(平22(ワ)42263)))

損害の額として請負工事金額の3割が認められました。

損害賠償と値引きは異なりますが、仮に裁判で争うと売買代金の30%程度が損害賠償請求額として認められる事例があることから、過去の裁判例を参考にすると、30%程度の値引きが一つの目安となる場合があります。

ただし、裁判上の判断と実際のマーケットは異なります。

事故物件を3割値引きしたからといって売れるとは限りませんし、値引きし過ぎという場合もあるでしょう。

出典:国土交通省「殺人事件に係る説明義務等について

事故物件の告知義務に関する注意点

事故物件を売却する際、売主には告知義務があります。

売主が心理的瑕疵を知りながら告げなかった場合、たとえ契約不適合責任を免責していたとしても、その責任を逃れることはできません。

契約不適合責任とは、引渡し後に物件に瑕疵が発見された場合、売主が負う損害賠償や契約解除の責任のことです。

なお2020年4月以前、契約不適合責任は瑕疵担保責任と呼ばれていました。

一方で、仲介会社(仲介を行う不動産会社)にも知り得た重大な心理的瑕疵について説明義務があり、売主から事故物件の内容を告げられた場合には、買主へ説明しなければなりません。

以下のようなケースでは、仲介会社に調査義務が生じます。

仲介会社に調査義務が生じるケース

  • 過去に事故や事件があったことを疑わせるような事情がある
  • 買主から過去に事故や事件がなかったか問い合わせを受けている

しかし、この2つのようなケースでない限り、仲介会社に積極的な調査・説明義務はなく、責任は問われないことになります。

よって、責任が重いのは仲介会社よりも売主と言えるでしょう。

事故物件の告知義務はいつまで続く?

国土交通省のガイドラインによれば、賃貸の場合は事件・事故の発生からおおむね3年が経過すれば、原則として告知は不要とされています。

一方、売買物件には事故物件の告知義務に明確な期限はないため、事案ごとに判断されます。

買主の判断に重要な影響を与える事案であれば、長期間が経過していても告知が求められるのです。

過去には50年前の殺人事件について説明義務が認められた判例もあります。

事件の残忍性や地域性、報道の有無などによって告知すべき期間は変わるため、自己判断は避け、不動産会社や弁護士に相談しながら慎重に対応しましょう。

出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

出典:国土交通省「殺人事件に係る説明義務等について

告知義務を怠るとどうなる?

告知義務を怠ると、契約不適合責任を問われ、損害賠償請求を受ける恐れがあります。

契約不適合責任とは、引き渡し後に物件の欠陥が発覚した場合、売主が買主に対して負う責任のことです。

事故物件であると知りながら買主に伝えずに売却した場合、契約解除や代金の減額、損害賠償の対象になります。

過去の判例では、事件の事実を告げなかったケースで、売買代金の約3割にあたる金額の支払いが命じられた事例もあります。

たとえ契約書で契約不適合責任を免責する特約を結んでいても、売主が事実を知りながら隠した場合は責任を免れられません。

トラブルを避けるためにも、知っている事実は包み隠さず伝えましょう。

孤独死や自然死も告知は必要?

孤独死や自然死については、原則として告知の必要はありません。

国土交通省のガイドラインでは、老衰や病死など、日常生活の中で発生した不慮の死は、買主の判断に重大な影響を与えないと考えられています。

ただし例外もあり、発見までに長期間を要し、特殊清掃や大規模なリフォームが必要となった場合は、自然死であっても告知が求められます。

遺体の腐敗による臭気や害虫の発生など、住むことに強い抵抗を感じる要素が加わるためです。

また、買主から過去の死亡事案について質問された際は、自然死であっても事実を伝える義務があります。

判断に迷う場合は、不動産会社に相談したうえで対応しましょう。

事故物件の売却を進めやすくする5つのポイント

この章では、事故物件の売却方法について解説します。

事故物件の売却を進めやすくする5つのポイント

  1. 弁護士に相談してから売る
  2. 値引きして売る
  3. 建物を取り壊して売却する
  4. 不動産会社に売る
  5. 時間を空けてから売る

1. 弁護士に相談してから売る

事故物件を売却する際は、まず弁護士に相談することをおすすめします。

売却したい物件が「事故物件に該当するか否か」の判断は難しいと言えます。

例えば、以下の2例は同じ時間が経過した「自殺」と「他殺」の事件ですが、他殺のほうのみ事故物件と認められました。

同じ時間が経過した「自殺」と「他殺」の事件

  • 「東京地判平19.7.5(平18(ワ)6425)」では、8年7か月前に焼身自殺があり、その建物が解体済みである場合は瑕疵にあたらないとされています。
  • 「大阪高判平18.12.19(判時1971.130)」では、8年7か月前に女性が胸を刺されて死亡するという殺人事件があり、その建物が解体済みであるにもかかわらず瑕疵に該当するという事例がありました。

事故物件に該当するか否かは、単純な時間の経過だけで判別することができません。

そのため、弁護士に相談して状況を整理することが重要です。

事故物件でなければ普通の物件として売れば良いですし、事故物件に該当すれば値引きなどの対処が必要となります。

弁護士への相談は「弁護士会」がおすすめ

事故物件について弁護士に判断を仰ぎたい時は、各都道府県の弁護士会への相談がおすすめです。

弁護士会への相談は、原則として予約が必要となります。

予約時に相談内容をある程度伝えられますので、弁護士も事前に準備してくれるでしょう。

売りたい物件が事故物件かもしれないと思った時は、売却前に弁護士に相談するようにしてください。

2. 値引きして売る

仮に事故物件をすぐに売りたいのであれば、値引きをするのが現実的です。

しかし、実際に売りに出してみないと適切な値下げ幅は分かりません。

時間をかけて段階的に値下げしていく売り方がおすすめです。

値下げのタイミングは、不動産の売却に要する期間の平均と同じ3ヶ月後が良いでしょう。

先述の裁判例(神戸地判平28.7.29(平27(ワ)1743))では、裁判中に事件の影響を踏まえた不動産の鑑定評価が行われています。

裁判中に適正額として提出された鑑定評価額は3,294万円(40%減)となっています。

この裁判で、損害賠償額として認められた金額は約30%に相当する1,575万円でしたが、もし売買されていたら40%減の物件だったということです。

当該事故物件は、事件から7年4ヶ月が経過していましたが、それだけの時間が経過しても40%減の価格が適正評価とされました。

それより前に売れば、さらに減額幅は大きい可能性もあります。

売却の流れについては、以下の記事で解説していますので、合わせて確認しておきましょう。

3. 建物を取り壊して売却する

事故物件の場合、建物を取り壊して売却する方法もあります。

心理的嫌悪感は特定の空間において生じるものですが、建物が取り壊された後なら空間が特定されないことになり、嫌悪感が弱まると言われます。

ただし、建物を取り壊したとしても、事故・事件の内容によっては事故物件として扱われることもあるので、注意が必要です。

同じ年月が経過しており、同様に取り壊しを行っても、自殺の場合は事故物件に該当せず、他殺の場合は事故物件に該当するというケースもありました。

つまり、事故・事件の印象が強く影響が大きい場合には、取り壊しをしても瑕疵は払しょくされないと判断されることがあるのです。

取り壊す前には弁護士や不動産会社に相談し、取り壊し後はどのような扱いになるかを確認した上で売却しましょう。

4. 不動産会社に売る

不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」を利用するのも一つの方法です。

事故物件の取り扱い基準は不動産会社によって異なり、エリアや事故・事件の内容によって判断が分かれます。

買取による売却価格は、仲介による一般的な売却よりも安くなる傾向にあります。

しかし、事故物件はなかなか売れませんし、仮に売れたとしても相場より安くなるでしょう。

さらに、不動産を保有している以上、固定資産税などの維持費が生じます。

長期間売れずに残るよりは、買取で売却したほうが結果的に得になるケースもあるでしょう。

また、事故物件は定義があいまいなため、値引きの範囲も主観に左右されやすい面があります。

根拠のない値引きを避けるためにも、複数の不動産会社に査定を依頼して、価格の妥当性を比較検討しましょう。

5. 時間を空けてから売る

時間的希釈の原則を利用し、時間を空けてから売るのも一つの手です。

自殺に関しては、以下のような判例があります。

自殺の裁判例

  • 居住者がマンション内のベランダで6年前に首吊り自殺をしていたことが瑕疵と認められた事例(横浜地判平元.9.7判時1352.126)
  • 取壊し済みの座敷蔵での7年前の首吊り自殺が瑕疵にあたらないとされた事例(大阪高判昭37.6.21判時309.15)

自殺の場合、6年までは事故物件となり、7年目(取り壊し済み)から瑕疵にならないと判断される傾向があります。

ただし、他殺の場合は以下のような事例もあります。

他殺の裁判例

  • 取壊し済みの建物内での50年前の殺人事件について説明義務が認められた事例(東京地八王子支判平12.8.31)

売買の場合、一般的には6~7年で事故物件扱いではなくなるとされていますが、事件の残忍性や地域性によっては、さらにその期間が長くなることもあります。

事故物件の売却に関するよくある質問

最後に、事故物件の売却でよくある質問に答えていきます。

Q1. 事故物件でも住宅ローンは組める?

事故物件でも住宅ローンを組める場合があります。

住宅ローンの審査では、申込人の年収や勤続年数、信用情報が重視されるため、物件が事故物件であるという理由だけで融資を断られることは少ないでしょう。

ただし、事故物件の場合は物件の担保価値が下がるため、希望する金額に届かないケースがあります。

また、金融機関によっては事故物件への融資に慎重な姿勢を取るところもあり、審査が厳しくなることも考えられます。

買主が住宅ローンの利用を前提に購入を検討している際は、事前に複数の金融機関で相談することを伝えると、商談がスムーズに進むでしょう。

Q2. マンションの隣の部屋で事件があった場合も告知義務はある?

マンションの隣の部屋で事件があった場合、原則として告知義務はありません。

国土交通省のガイドラインでは、取引対象である物件の隣接住戸で発生した事案は、告知の対象外とされています。

買主が直接生活するスペースで起きた出来事ではないため、心理的な影響が限定的だと考えられているのです。

ただし、社会的に大きく注目を集めた事件や、報道で広く知られている事案については例外となります。

また、買主から事件の有無について質問された場合は、知っている範囲で正直に答える必要があります。

隠したまま売却すると、トラブルにつながる恐れもあるため注意しましょう。

出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

Q3. 事故物件であることを隠して売却したらどうなる?

事故物件であることを隠して売却すると、契約解除や損害賠償請求の対象となります。

売主には告知義務があり、買主の判断に重要な影響を与える事実を知りながら伝えなかった場合、契約不適合責任を問われるためです。

過去の判例では、強盗殺人事件の発生を告げずに売却した売主に対し、売買代金の一部の支払いを命じた事例もあります。

契約解除に至れば、受け取った代金の返還に加え、買主が被った損害の賠償も求められるでしょう。

一時的に高く売れたとしても、後から損害賠償の支払いを求められるリスクを考えれば、最初から正直に告知したほうが安心です。

Q4. リフォームすれば事故物件扱いを回避できる?

リフォームをしても、事故物件扱いを確実に回避できるわけではありません。

事故物件と判断される根拠は、建物の物理的な状態ではなく、過去に起きた事案そのものにあります。

リフォームで床や壁紙を新しくしても、事件や事故が発生した事実はなくならないため告知義務が残るのです。

ただし、リフォームによって買主の心理的な抵抗を和らげる効果は期待できます。

特に、死後の腐敗などによって特殊清掃が必要だった物件では、清掃や内装のリフォームによって買主が見つかりやすくなるケースがあります。

リフォームは告知義務をなくすためではなく、売却を進めやすくする手段と考えましょう。

まとめ

事故物件は売却が難しいとされていますが、適切な手順を踏めば十分に売却は可能です。

大切なのは、自分の物件がどのような状況に当てはまるかを把握し、それに合った売却方法を選ぶことです。

自分の物件が事故物件に該当するかどうか、またどの程度の値引きが妥当かは、専門家でないと判断が難しいでしょう。

まずは弁護士や事故物件に強い不動産会社に相談し、自分の状況に合った売却方法を見つけることから始めてみてください。

この記事の執筆者

杉山 明熙

杉山 明熙Meiki Sugiyama

元不動産営業のWEBライター。
不動産営業を12年間経験し店長、営業部長として、売買仲介、賃貸仲介、新築戸建販売、賃貸管理、売却査定等、あらゆる業務に精通。
現在は不動産に関するノウハウや不動産投資のハウツー、まちづくりに関する行政・企業の取り組みを紹介する記事を執筆している。

詳しいプロフィール

URILABOの運営者

スター・マイカ株式会社

“作る”から“活かす”社会の実現をめざし、リノベーション中古マンションを販売する会社です。オーナーチェンジ物件の買い取りを得意とし、常時約4,000戸保有しています。不動産のプロとして「納得のいく不動産売却」のための情報を発信しています。

スター・マイカ株式会社 宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(03)第8237号
当社は、東証プライム上場のスター・マイカ・ホールディングス株式会社のグループ企業です

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