何が違うの?リノベーションとリフォームの違いについて

「リノベーション」と「リフォーム」の違いとは?

近年、「リノベーション」という言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。

一方で、「リノベーション」と「リフォーム」よく似たこの2つの言葉ですが、その違いについてみなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 

リノベーション:大規模工事を行って新築時よりも価値を向上させること

 

リフォーム:小規模工事を行って新築時と同水準の状態に戻すこと

 

大きく分類するとこのような意味となりますが、他にも違いはあります。

この記事では、リノベーションとリフォームの違いについて解説します。

リノベーションとリフォームの意味とは

まずはリノベーションとリフォームについて、2つの組織が設定した定義をご紹介します。

 


 

【建設省(現:国土交通省)の定義】

・リノベーション:新築時の目論みとは違う次元に改修する

・リフォーム:新築時の目論みに近づく様に復元する

 


 

【「一般社団法人 リノベーション住宅推進協議会」の定義(主要なリノベーション関連企業が加盟)】

・リノベーション:機能、価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修。

・リフォーム:原状回復のための修繕・営繕、不具合箇所への部分的な対処。

 


この2つの定義は少し表現が固いですね。

噛み砕いて説明すると、それぞれの意味は以下のようになります。

ポイントは改修の規模と、新築時よりも性能・価値が向上するかどうかです。

 

リノベーションとは

既存の建物に大規模な工事を行うことで、性能や価値を新築当初よりも向上させること。

よりデザイン性を高めたり、間取りや内装・外装を変更することによって、マイナスまたはゼロの状態から、プラスへと変化させること。

 

リフォームとは

老朽化した建物やその一部を、小規模な工事を行うことで新築当初の状態に戻すこと

外装の塗り直し、キッチン設備の変更、壁紙の貼り替えなどによって、マイナスからゼロの状態にすること。

 

リノベーションは:「つくり変える」

リフォームは:「元に戻す」

 

時代と共に、家族構成やライフスタイルも変化していきます。

今の暮らしやライフスタイルに合わせてより、住みやすく、暮らしやすく家づくりをするのがリノベーションです。

 

リノベーションとリフォームの4つの違い

リノベーションとリフォームの違いをより具体的にあげると

1.工事の規模、2.住まいの性能、3.資産価値、4.工事費用の4点です。

それぞれについて説明していきます。

 

1.工事の規模の大小

前述のとおり、大規模だとリノベーション、小規模だとリフォームと呼ばれます。

具体的には、間取りの変更、冷暖房・換気設備の変更、水道管・排水管の取り替えといった、住宅全体にかかわる工事が発生するものがリノベーションです。一方で、システムキッチンやユニットバスといった設備の入れ替えや、壁紙の貼り替えなど、一部分の修繕などであれば、リフォームです。

「キッチンのリフォーム」とは言いますが、「キッチンのリノベーション」とはあまり聞かないですよね。大規模か小規模かについての明確な線引はありませんが、全体なのか部分的なのかによって使い分けられています。

 

2.住まいの性能が新築時よりも高まるか、同水準か

こちらも前述のとおり、新築時を基準として、それよりも性能を高めるものはリノベーション、新築と同等またはそれ以下であればリフォームです。

リノベーションは「つくり変える」、リフォームは「元に戻す」ととらえるとわかりやすいですね。リノベーションは骨格を残してそれ以外すべてをつくり直すようなスケルトンリノベーションと呼ばれる大規模なリノベーションもあります。天井の下地や給水管・排水管、電気の配線といった目に見えない箇所もつくり変えていきます。

では「フルリフォーム」は全体的にリフォームするのでリノベーションと同じか?と言いますと、同じではありません。フルリフォームの場合、目に見える部分はすべて改修しますが、天井の下地や給水管・排水管、電気の配線といった目に見えない部分には手を加えないのが普通です。あくまでも「つくり変え」ではないということですね。

住宅にオフィススペースを設けたり、オフィスビルを住宅用に改修するといった、他の用途に変えるリノベーションを「コンバージョン(変換、転換)」と呼ぶこともあります。

 

3.資産価値が新築時よりも高まるか、同水準か

リノベーションは新築時よりも性能を高める改修なので、その資産価値も新築時より高くなります。一方でリフォームは新築と同水準かそれ以下の性能になるので、資産価値は新築時には劣ります。

後に売却する可能性がある場合にはその時の査定価格に影響してきますので、購入用と費用、将来的な見通しから検討する必要があります。

 

4.工事費用の大小

大規模改修と小規模改修の違いから、工事費用も異なってきます。

リノベーションの工事費用は物件規模によって異なりますが、マンションでは500万円〜800万円、一戸建てで700万円〜1200万円前後の事例が多くなっています。

一方でリフォームはその工事規模や使用する設備・資材によって様々です。例えばマンションなら、洗面台のみ、トイレのみなら50万円以下、キッチンのみ、浴室のみであれば50万円〜100万円くらいが目安です。

工事規模の大きいリノベーションのほうが高くなりますが、規模に対して単純な比例ではありません。一度にまとめて工事することによって、部分的な工事の合計金額よりも割安で実施することができます。

 

まとめ

このように「リノベーション」と「リフォーム」の意味はその改修規模と性能向上度合いによって使い分けられています。

ですが、実態としては混合して使われていることも多いです。明らかにリノベーションにあたるものがリフォームと呼ばれることもあるので、時にインターネット上の情報や広告を見ていると認識がずれてしまうことがあります。営業マンとのやりとりでも同様です。表面的な言葉ではなく、「どのように暮らしたいか」を考えた上で「リノベーション」や「リフォーム」を選択してみてください。